新・原発関連情報 9
9. 汚染された海洋動物を摂取すると 人体にどのような影響があるか? (試算つき)
放射能で汚染されている水産物の摂取に伴い、人はそれに関連する放射性核種を摂取する。
これらは代謝と一緒に体内に分配される。セシウムの同位体は体全体に分配されるが、とりわけ筋肉組織に分配される。
ヨウ素の同位体は甲状腺に蓄積される。同位体は一定時間経過後に再び排出される。
放射性核種の摂取にともない、人間はある放射線量を得る。
この放射線量を見積もるためには、摂取した海洋生物の肉の放射能の濃度(Bq/kg)と摂取した量(kg)が分からなければならない。
それぞれの放射性核種について、いわゆる「線量係数(実効線量)」があるが、これは人の体全体への影響を考慮したものである。この単位は Sv/Bq である。これらの係数を下に記す(成人用):
Cs-137 1.3 × 10-8 Sv/Bq = 0.013 μSv/Bq
Cs-134 1.9 × 10-8 Sv/Bq = 0.019 μSv/Bq
Cs-136 3.0 × 10-9 Sv/Bq = 0.003 μSv/Bq
I-131 2.2 × 10-8 Sv/Bq = 0.022 μSv/Bq
この実効線量を用いてどのように放射線量の見積もるか。
それを示すために、以下に幾つかの計算例を表示する。セシウム136(13日間の半減期)とヨウ素131(8日間の半減期)の2つの短命の放射性核種に関しては、今後の数ヶ月間中には実際になんの役割も果たさなくなるため、ここでは考慮に入れていない。
1. 0.2 キログラムの魚を摂取したとする(これはおよそ一回分の食事の量)。
ここでこの魚肉中には放射性核種のセシウム137 とセシウム134 がそれぞれ 10 Bq/kg ずつあるとする。
するとそれぞれの放射性核種に関して次の値が生じる:
Cs-137 D = 0.2 kg × 10 Bq/kg × 0.013 μSv/Bq = 0.026 μSv
Cs-134 D = 0.2 kg × 10 Bq/kg × 0.019 μSv/Bq = 0.038 μSv
この食事の総線量はこれらを合計して0.064 μSv となる。
2. 上記のような量を1週間に1回1年間にわたって摂取した場合(0.2 kg × 52 = 10.4 kg)、次の年間線量率が得られる:
Cs-137 D = 10.4 kg/year × 10 Bq/kg × 0.013 μSv/Bq = 1.35 μSv/year
Cs-134 D = 10.4 kg/year × 10 Bq/kg × 0.019 μv/Bq = 1.98 μSv/year
総線量率は合計して3.33 μSv/year(1年間当たりのマイクロシーベルト)である。
3. いま 放射能の値がEU内で適用されている最高値である500 Bq/kg の魚を一回の食事(0.2 kg)で摂取すると仮定してみる。
セシウム同位体についての制限値はセシウム134とセシウム137の合計に関してである。
現在のところ、福島では2つのセシウム同位体がほぼ同量存在している。
それ故に我々はこの例では 250 Bq/kg のセシウム134 と250 Bq/kg セシウム137 と仮定した。
この放射性核種に関しては下記の計算となる:
Cs-137 D = 0.2 kg × 250 Bq/kg × 0.013 μSv/Bq = 0.65 μSv
Cs-134 D = 0.2 kg × 250 Bq/kg × 0.019 μSv/Bq = 0.95 μSv
総線量はセシウム放射性核種を合わせた1.6 μSv となる。
年間摂取量(10.4 kg/year)に関しては、上記の計算例では人間に関して 83 μSv または 0.083 mSv の線量となる。
これは、人間に関する一年の限界値である 1 mSv の約8% を占めている。
この 1 mSv とは、放射線防護に関する基本的な基準に関する指導要綱 96/29/EURATOM に基づくもので、EU内で適用されているものである。
比較のためにあげておくと、人間の自然放射線被曝は、(地域次第で)1〜6 mSv の変動範囲である場合、1年に 約 2.1 mSv である。
異なる線量値が意味するものの一般的な評価については 連邦放射線防護庁(BfS)の包括的なウエブ・サイトを参照のこと。
zu Fragen der Strahlenexposition des Menschen (BfS)
http://www.bfs.de/de/ion/wirkungen